日常の中で、シンクロニシティを感じたことがあるという方は多いでしょう。
シンクロニシティ自体は、ユングが提唱したということも有名ですね。
今回はシンクロにシティ自体について、ユングについてや集合的無意識などについて徹底解説していきたいと思います。
複雑なシンクロニシティについて、分かりやすく解説します。


シンクロニシティとは?
ではまず、シンクロニシティ自体についてご紹介します。
シンクロニシティは、同時発生や共時性とも言われていて、なぜか関係のないものに共通点がある現象を指します。
「関係のないものの共通点」というと、テレパシーにも通じるものが感じられますが、ユングの提唱するシンクロニシティでは、どのように語られているのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
ユングが提唱した考え
シンクロニシティは意味のある偶然の一致です。
何かしら、偶然一致するということはありますが「その一致に意味を感じること」という場合です。
この意味を感じるかどうか、というのは重要なポイントで、意味を感じない場合にはシンクロニシティには該当せず、単なる偶然となるのです。

偶然の一致のすべてがシンクロニシティではないということですね。
後述しますが、このシンクロニシティには「集合的無意識」が関係しているとされ、人間(あるいは動物も含める)の意識は、すべて無意識に繋がっているとも語っています。
無意識に意識が繋がっているというのは、ちょっと想像しにくいかもしれませんね。
シンクロニシティの発生には、この集合的無意識との関連があるとされています。
因果関係はないものに類似性がある
シンクロニシティには、因果関係がないものに類似性(同時発生や共時性)があるもの、とされています。

ですが、因果関係を証明するのが難しい場合もあり、あまり明確にはなっていません。
この細かい定義については難しい話になってしまいますが、元々因果関係がある場合には、シンクロニシティではないということですね。
関係性があるのだったら、確かに偶然とは言い難いですし、類似性があっても不思議なものとは思えません。
有名な都市伝説に、グリセリンの結晶化に関する都市伝説があります。
現在では真実ではないとされているのですが、シンクロニシティについて分かりやすいたとえ話のようになっているのでご紹介します。(生物学者のライアル・ワトソンの逸話とされています。)
グリセリンが発見されてからの100年、誰も結晶化させることができずにいました。
ですが、グリセリンの場所を移動させている道中、偶然にもグリセリンが結晶化したのです。
結晶化の過程は分からないままでしたが、とにかく結晶化したのです。
そして、この「結晶化したグリセリン」から「株分けされたグリセリン」を入手した科学者も、結晶化に成功させました。
すると、その他密閉されていたはずのグリセリンなども、すべてが結晶化したというものです。

関係がないはずなのに、同時に結晶化したのね。
つまり、因果性のない実験中のグリセリンと、密閉しているはずのグリセリンにシンクロニシティが発生して結晶化したということです。
実際の話ではありませんが、非常に分かりやすい話です。
カール・グスタフ・ユングとは?
シンクロニシティを提唱したカール・グスタフ・ユング(以下ユング)は、非常に有名な人物です。
有名であるが故に、あまりこの人物を知らないこともあるかと思いますので、ユング自身についてご紹介していきます。
スイスの心理学者

「カール・グスタフ・ユング」wikipediaより引用
1875年スイスにて、プロテスタント協会牧師の家に生まれました。
父親は言語学の博士でもあり、祖父はゲーテの私生児だったという噂が流れています。
そのような環境もあってか、神と人や善悪に関して興味を持ちます。
また、ユングの著作の中で、ゲーテやニーチェへ言及も多くありますが、これらの作品と出会ったのは、学生時代とされています。
ユング自身は感受性の強い子供で、両親との関係性に悩んでいたのではないかとも言われています。
ユング心理学を作った
1904年に発表された連想実験の論文によって、ユングは心理学の研究者として注目されていきます。

ちなみに、この頃ユングは患者の1人と不倫関係にあったとも言われています。
そして、1907年からはジークムント・フロイト(以下フロイト)との交友を深めていき、お互いに非常に信頼し合う仲となります。
2人の年の差は19歳差ありますので、ユングはフロイトのことを父や兄のようにしたっていたと言います。
ユングもフロイトも非常に忙しい毎日を送っていく中で、だんだんとお互いの心理学に関する主張や信頼関係が崩れていきます。
フロイトとの決別
フロイトは精神分析の第一人者と言われていて、心理学自体を作ったと言っても過言ではない人物です。
ユングにとっても、尊敬できる人であり話も合ったのでしょう。
その証拠に、初めてユングとフロイトが出会ったその日に、13時間も話続けたという逸話があります。
そんな2人でしたが、ユングとフロイトの理論の考え方の違い、そしてフロイトが置かれていた当時の立場もあり、2人の間には距離ができてしまいます。
フロイトから見ると心理学者として名を上げていくユングに対しての焦り、ユングから見ると保守的に見えるフロイト。

立場や考えがすれ違ってしまって行ったのです。
1914年には、ユングが国際精神分析学会を去ったことで、決別をしていくこととなります。
非常に信頼し合っていた仲でしたが、理論の考え方やお互いの振る舞いなど、お互いに深く考えすぎてしまっていた部分もあるのかもしれませんね。
実際、本当の心の内は当事者たちにしか分かりません。
その後、フロイトは第一次世界大戦などもあり、生活に困窮しつつも患者たちのために尽力したとされています。
ユングはフロイトと決別後、精神的に辛い日々を送ることとなります。皮肉にもその辛い日々は、集合的無意識の理論への礎となっていきました。
また、ユングは自身の死の10日前まで、著書を執筆していたとされていて、心理学の研究に没頭し、貢献しました。
身近なシンクロニシティとは?
身近なシンクロニシティについても見ていきましょう。
きっと一度は、誰でも体験したことがあるのではないでしょうか?
上でも触れた通り、ただの偶然の一致ではなく、意識をしている一致であることは重要になります。では見ていきましょう。
虫の知らせ
何かが起こる前に、嫌な予感がするといった感覚や、夢に見るというのも「虫の知らせ」ですね。
虫の知らせの場合、後になって初めて「シンクロニシティだった」と分かるタイプのものです。
また、物理的に距離が遠い場合でも、この虫の知らせは発生することがありますね。
噂をすればやって来る
これもよく言われているもので、誰かの噂話をしていたら、その話の当人がやって来るというものです。
話をしていることとは全く関係がないのに「その話に引き寄せられている」のか「やって来るから話を始めた」のかは分かりませんが、シンクロニシティの1つと言えますね。

ですが「噂話をしている場所と話の当人が、同じ建物内」の場合では、元々因果関係があったとも言えます。
噂話の当人がやって来るはずもないような遠くの街で話していたら、当人がやって来たという場合なら成立しそうです。
日常的に起こりやすいシンクロニシティですが、因果関係があると成立しません。
メールが来る前にその人を思い出す
何となくある人のことを思い出していた時に、その当人からメールが来るということもあります。メールではなく電話や来訪なども同様ですね。
これに関しても、因果関係が無かったことが必要となりますので、成立までは難しいかもしれません。

成立は難しいですが、日常的に起こりやすいものですね。
元々、この時間帯にメールすることが多かったとする場合や、メールの返信を待っていたという場合は、シンクロニシティとは違います。
厳密に言うと厳しくなってしまいますが、日常にもシンクロニシティはありますね。
シンクロニシティと集合的無意識
非常に難解な「集合的無意識」
コチラについては、ざっくりと要点をご紹介していきます。
上でも少し触れましたが、集合的無意識をひとことで表すと、全ての人間(あるいは動物を含む)は無意識に繋がっているという考え方です。
さっそく詳しく見ていきましょう。
集合的無意識は無意識を超えた先
意識には層があると考えられています。普段考えている部分の意識と、無意識の部分です。
その中で、無意識のもっと向こう側に全ての人間と繋がっている無意識があるのではないか、というのが「集合的無意識」です。
少々難しい表現ではありますが、自分では分かっていない部分で、他の人と共通している意識があるとも言い換えられます。
行動や考えにも作用する
集合的無意識は、行動や考えにも作用するとされています。分かりやすいのは音階での例えです。
メジャーと呼ばれる音階は明るい印象を持ち、マイナーと呼ばれる音階は悲しい・暗い印象を持つというのです。
これは、人種などに関係なく共通しているとされています。

音楽に国境は無いと言いますね。
音楽には国境がないと言われるのも、この共通している部分があるからとも言われています。
確かに音楽を聞いていて「何かイメージするもの」は、各国共通しているかと思います。
音楽を一例として挙げましたが、この集合的無意識が関係しているとされているのは、世界の神話などにも見て取れます。
全く違う場所の神話に共通点があるのは、集合的無意識が関係しているのかもしれません。
シンクロニシティを題材にした映画
シンクロニシティは、映画などの題材にもしやすいので、多く存在しています。
ここでは、人気の映画を取り上げたいと思います。
ぜひ、シンクロニシティを考える参考にしてみてください。
シンクロニシティ
タイトルそのままですが、2015年に公開された映画です。
タイムマシンを成功させかけている科学者ジムですが、そのあと一歩のための資金作りに奔走。
その間にスパイにその技術を奪われてしまいます。
ジムはタイムマシンを使って過去の自分に忠告をしに行こうとします。
パラレルワールドの要素が入っている、少し複雑なストーリーです。
ホリデイ
2007年に日本公開された映画です。
主人公であるアマンダは、失恋の苦しみから、家を交換するホームエクスチェンジを利用し、休暇を取ることを決めます。
そして、同じく交換する女性アイリスも同じく失恋の痛手を負っていました。
お互いの家を交換した先で、新たな出会いがあるのですが・・・。
王道的なラブコメですが、様々な偶然が訪れるストーリーです。
恋人と楽しむのにもおすすめな映画です。
まとめ
偶然の一致は、たまたまという言葉だけでは語りきれない場合もあります。
もしかしたら、それは集合的意識によるシンクロニシティなのかもしれません。
不思議な偶然があった時など、ぜひ思い出してみてください。

他の記事も併せて読んでみてくださいね。


【参考サイト】
wiki
シンクロニシティ(wikipedia)
カール・グスタフ・ユング(wikipedia)
元型(wikipedia)
集合的無意識(wikipedia)
分析心理学(wikipedia)
グリセリン(wikipedia)
百匹目の猿現象(wikipedia)
超能力(wikipedia)
ライアル・ワトソン(wikipedia)
ジークムント・フロイト(wikipedia)
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