ノアの方舟は旧約聖書に登場する、非常に有名な舟です。
現代では、内容的に信じられないような現象が書かれているので、事実とはかけ離れていると考えている方もいるかもしれません。
ですが、ノアの方舟はもしかしたら実在したのかもしれないのです。

本当に実在しているのでしょうか?
ノアの方舟の真実に迫るべく、あらすじと類似の記述などを解説していきます。


ノアの方舟とは?
旧約聖書を読んでいなくても、ノアの方舟について知っている方も多いかもしれません。
ノアの方舟は箱船と書くこともあり、聖書の序盤において重要な役割を持っています。
そして、ノアの方舟は実在しているかもしれないとされています。では、ノアの方舟について詳しく確認しておきましょう。
旧約聖書に登場する方舟
旧約聖書の創世記に登場するのが、ノアの方舟です。
旧約聖書と新約聖書の違いは、翻訳の新旧ではなく、契約の約なのです。
神と人間との古い契約と、新しい契約ということです。
ユダヤ教では新約聖書は聖典としておらず、旧約聖書のみが聖書ということになり、特に旧約聖書とは呼ばずに聖書と呼びます。

それに対して、キリスト教では新約も旧約も聖典です。
新約聖書は神であるヤハウェの子、キリストの救いと弟子たちの布教についてを中心に描かれています。
つまりは、旧約・新約とするのはキリスト教からの見た目ということにもなりますね。
方舟自体は文字通り、箱のような形をしているものとされていて、長さ300キュビト、幅50キュビト、高さ30キュビトです。(メートルにして約133.5m、22.2m、13.3m)
この比率は30:5:3となり、大型のタンカーを造船する時に、安定性のある比率とされています。
実在し、発見したという記録が多くある
ノアの方舟は洪水の中、漂流した後にアララト山に辿り着いたとされています。
ノアの方舟の話自体、本当に存在したとは思えにくいほど不思議な内容ですし、実際には存在していないようにも思えます。ですが、発見したという記録は多くあるのです。
記録はなんと1世紀頃からあり、方舟の一部が残っているという記録が残されているようです。
13世紀にはマルコ・ポーロによって伝えられていますが、その後1840年にアララト山は噴火を起こしてしまいます。
噴火によって、方舟も絶望的かと思われましたが、その後ノアの方舟と思しきものが露出します。

詳しくは後述しますが、このように多くの記録が残されているのです。
また米国の衛星撮影の中に、方舟のようなものが写っていたとも言われていて、実在しているのではないかという期待が高まっています。
洪水に関しての有力説もある
大洪水が起こって、ノアの方舟はその中を漂流したということですが、洪水に関しての有力説も存在しており、さらに現実味を帯びています。
世界中の神話などに、洪水について書かれていることは多くあり、ノアの方舟と洪水との関連があるのではないかとされています。
ですが、最も有力となっているのは、世界中で起こった大洪水ではなく、局所的に起こったものであれば、関連があると考えられるとされています。

もし旧約聖書の通り、世界中が洪水になった場合には、今の海水の3倍ほどの量が必要となります。
そして、洪水が引いた時にはその海水が無くならねばなりません。
素人考えであっても、この点について自然現象では説明がつきませんので、世界中の洪水ではなく部分的な洪水だったのではないかと言われています。
創世記におけるノアの方舟のあらすじ
続いて、創世記に書かれているノアの方舟のあらすじについて、触れていきたいと思います。
もちろん解釈はその方によって違う部分もあるかもしれませんが、意外と知っているようで、知らないこともありますね。
ノアの方舟の前後を見ていきましょう。
人々が堕落してしまう
地上の人々の心の中には悪が広がってしまい、常に悪いことばかりを考えているようになってしまいました。

つまり、堕落です。
神はその状態を見て、これらを創造したことを悔いて、拭い去るために洪水を起こすのです。
ですが、全ての人間を拭い去るのではなく「正しく歩んだ人」であるノアとその家族、動物を救うために、方舟を作るように命ずるのです。
ノアが方舟を完成させる
そして長い月日が流れて、ノアが方舟を完成させます。
方舟はゴフェルの木によって作られたとされていて、現在で言うイトスギです。ですがホワイトオークだったと言う話もあります。
内側と外側には木のタールが塗られました。
作りは3階建になっていて、たくさんの小部屋が用意されました。
ノアの家族と動物のつがいのみが乗せられた
ノアとその妻、3人の息子たちとその妻の合計8人。すべての動物たちのつがいが乗せられました。
その後大洪水は40日40夜もの間続いて、地球上の全ての生き物を滅ぼし、拭い去ったのです。
150日間もの間、方舟はさまよいアララト山へと辿りつきます。
そこでノアは外の様子を探るために、鳥を放ちますが、すぐに戻って来てしまいます。
鳩も放ちますが、戻って来ます。
7日後に同じように鳩を放つと、オリーブの葉をくわえて戻り、その7日後に放つと戻って来なかったそうです。
これでもう外に出られると思い、ノアたちは方舟の外へ出るのです。
そして神は、「もう洪水は起こさない」という約束として、虹をかけたのです。

ノアの方舟は、このような経緯でできました。
ノアという人物
ノアとその家族は、唯一大洪水から救われた人々ですが、どのような人物だったのでしょうか?
伝えられている部分から、ノアという人物を見ていきましょう。
神と共に歩んだ正しい人
人類最初の殺人と言われている、カインとアベルの弟として生まれたセトの子孫がノアです。
ノアは502歳で息子をもうけていて、950歳で亡くなったとされています。
唯一大洪水から、救われるほどに神から信頼されていた人物ですが、詳しい人となりについては分かっていません。
当時の人々の心の中には悪が広がっていたようですが、周りがそのような状態でも自分を持って正しい行いができる人ということですね。
600歳頃に方舟を作る
ノアが600歳のころに、神から命ぜられて方舟を作ることとなります。
上でも触れましたが、ノアの方舟自体非常に大きなもので、作る期間も相当なものであったと想像されます。
ちなみに、ノアの方舟ほどの大きさの船であれば、全ての動物のつがいを乗せることは可能としている人もいます。

もしかしたら、ノアが住んでいる近くの地域の生物全てをという意味なのかもしれません。
また、成体ではなく赤ちゃんだった、DNAのみ乗せたのではという話も多くあります。
とは言っても、赤ちゃんであってもDNAであっても、世界中からつがいの動物を集めてくるのも大変ですね。
超常的な力が関わっているのかもしれません。
このころに方舟を作りました。
呪いをかける
大洪水の中をさまよい、生き残ることができたノアとその家族たちですが、ある時にノアがワインを飲んで裸で眠ってしまいます。
それをノアの息子の1人、ハムが見つけて兄弟を呼びます。
呼ばれた兄弟たちは、裸を見ないようにして布をかぶせます。
後に、このことを知ったノアは、ハムの子供を呪ってしまいます。
ハムの子供は、他の兄弟の子供の奴隷となるというものです。
ハム自体を呪うのではなく、その子供を呪うという部分に怒りを感じますね。
ノアの方舟は実在する?アララト山に残されたもの
続いて、ノアの方舟が実在している証拠となりうるものが、アララト山に残されている可能性についてご紹介していきます。
多くの調査が行われている
実際にアララト山が残っていたとしても、火山の噴火もありかなり古いものですし、原型をとどめているとは思えにくいですね。

ですが、アララト山には何かがありそうと、多くの調査が行われています。
1883年には、地震によってノアの方舟と思しき一部が露出したと言われています。
この時にはトルコ政府が調査を行なっていたのですが、崩落してしまう危険性が高く、最後まで調査を行うことはできなかったそうです。
その後もロシアや米国の調査が入っていますが、完全な発掘はされていません。
ノアの方舟と思しきものの一部を持ち帰り、複数の機関で年代測定をすると、それぞれで差があるものの、約紀元前2000〜5000年代の間とされています。
また、木材の種類はホワイトオークとされておりますが、アララト山には古くからホワイトオークはありませんでした。
この点から見ても、少なくともこの木材の一部は、どこかから持ってきた可能性が高いとされています。
舟のようなものが記録されている
1950年代には冬のアララト山で、氷の中に120mもの影が発見されていたり、1960年代にも黒ずんだ船影らしき影が目撃されています。
そして、2010年に、アララト山の山頂で方舟と思しきものの木の破片が発見されました。
部屋と思しきものに分かれていることや、炭素年代測定でも年代が一致しています。
そのため、この木片はノアの方舟である可能性が高まっています。
そもそも、山の中腹に船のような影があること自体、通常では考えられないことです。
本物のノアの方舟である可能性が高まりますね!
類似点があるギルガメシュ叙事詩のあらすじ
ここまで、旧約聖書のノアの方舟についてご紹介しました。
ここからは類似点が多くあると言われているギルガメシュ叙事詩について見ていきたいと思います。

聖書とギルガメシュ叙事詩には関係があったのでしょうか?
舟を作り、家族と全ての動物の種を乗せる
エア神に命ぜられ、ウトナピシュティムは大きな船を作り、自分と家族、そして船大工、全ての動物を乗せます。
すると、エンリル神によって6日間もの間、嵐がやってきて、船はニシル山に辿りつきます。
鳩、ツバメ、カラスを放って外の様子を確認します。
エンリル神は人間が残っていることに怒る
エンリル神は、全ての人間を破壊するために洪水を起こしたのですが、エア神はウトナピシュティムに洪水から逃れるための船を作ることを教えていたために生き残りました。
思っていた事態と違った結果になったエンリル神は怒ります。
ウトナピシュティムは不死となる
エンリル神は、船を作らせたことを咎めますが、エア神と和解します。
その後エンリル神によって、ウトナピシュティムと妻は不死となりました。

ポイントは違っていますが、旧約聖書のノアの方舟とあらすじと似たようなものになっています。
なんらかの関係性があるのか、どちらも実際にあったことを書かれているのか不明です。
世界各地で洪水の歴史が残されている
旧約聖書と全く同じ洪水ではありませんが、世界各地では大洪水と呼べるような歴史が残されています。
こちらも旧約聖書と、なんらかの関わりがあるのかもしれませんね。
洪水の歴史についても見ていきましょう。
日本にも洪水の神話がある
沖縄県などに伝わる神話があります。
大洪水があり、人々がほとんど亡くなってしまうものの、兄と妹の2人のみが生き延びます。
そして、その2人が始祖となっていくという話です。
また、多少違っていても大筋が同じものが、台湾や中国南西部などにも伝えられているようです。
ギリシア神話
ゼウスの息子メガロスは、洪水から逃れるために鶴の声を頼りに泳いたという話があります。
また、アポロドーロスの著書の中には、ノアの方舟に類似しているエピソードも描かれています。
インカ神話
インカ神話では、巨人を滅ぼすために洪水を利用したそうです。
これによって地球には2つの民族が現れたのです。
また、洪水を逃れるために洞窟が使われています。
まとめ
ノアの方舟は物語だけの話かと思ってしまいますが、実際に存在していた可能性もあるのですね。
創世記に書かれているそのままではないかもしれませんが、類似したような出来事が実際にあったのかもしれません。
アララト山に残されているノアの方舟が、解明される日を楽しみにしていましょう。

他の都市伝説についてもご覧になってみてくださいね。


【参考サイト】
wiki
ノアの方舟(wikipedia)
ノア(聖書)(wikipedia)
アララト山(wikipedia)
大洪水(wikipedia)
黒海洪水説(wikipedia)
ギルガメシュ叙事詩(wikipedia)
アトラ・ハシース(wikipedia)
箱船(wikipedia)
旧約聖書(wikipedia)
新約聖書(wikipedia)
聖書(wikipedia)
洪水型兄妹始祖神話(wikipedia)
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