ブラックホールのイメージとは、なんとなく吸い込まれたら出て来ることができない、近づくと吸い寄せられてしまうというようなイメージが多いかと思います。
ですが、ブラックホールとは結局どんなものなのでしょうか?
ここでは、ブラックホールの観測についてと、その謎をまとめていきたいと思います。
さっそく見ていきましょう。
ブラックホールとは?
非常に簡単に紹介すると、大質量で強い重力を持っている天体が、ブラックホールです。
ブラックホールには種類があり、大質量ブラックホールから恒星ブラックホールまでの存在が確認されています。
理論値ではマイクロブラックホールという、さらに小さな存在もあるとされています。
ブラックホールと呼ばれだしたのは、比較的最近で以前まではコラプサーと呼ばれていました。
ブラックホールは、古典物理学では周りのものを次々と飲み込んでいくというものだと考えられていました。
ですが、1974年にスティーブン・ホーキング博士が提唱したのは、物質が逃げ出してブラックホールが蒸発する可能性です。
蒸発と急に言われると、話が難しくなってしまいますが、単に飲み込むだけでは無い可能性があるということですね。
宇宙にはダークマターのように観測ができないけど存在がありそうだったり、ビッグバンのように詳細がまだ分かっていない現象などが多くありますね。
その中のひとつのブラックホールは、今ゆっくりと解明されつつあります。
このブラックホールについて、詳しく見ていきましょう。
重い天体の成れの果て
ブラックホールが誕生するのは、突然ブラックホールとして誕生するのではなく、天体の成れの果てであると想定されています。
想定されているということなので、こちらもハッキリとはしていません。
銀河系の中では、100〜200年ごとに超新星爆発が起こっているとされています。
以前、ブラックホールは1つだけと思われていましたが、現在では天の川銀河のみだけでも数億はあると言われています。
こんなに危険なものが、数億もあるというのは、なんだか想像できませんね。
光ですら出ることはできない
光を飲み込むというのは、正しい表現ではなく、ブラックホールの中から光は脱出することができないということになります。
ブラックホールの周りでは、強い重力があるために、時空も歪められてしまうほどです。
このために、脱出速度が高速を超えてしまうのです。
少々難しい話になってしまいましたが、光を放たないこの性質のおかげで、理論的には存在すると言われつつ、なかなか観測することができなかったのです。
光ですら出ることができない、というのは地球上ではなかなか表現しがたいものですね。
ですが、この言葉の通りのことがブラックホールでは起こっているのです。
特異点がある?
ブラックホールには特異点があるとされています。
密度、重力が無限大になっているという、とても測り知れない点です。
ですが、ハッキリとした観測がされてはいないので、理論上はありそうという域を出ません。
特異点は存在しないとしている人もいますが、どちらとも言えませんね。
簡単にイメージすると、様々なものを引き寄せている真ん中には何かしらがありそうな気がしますが、恐らく人知を超えているであろうブラックホールでは、何が起きていてもおかしくありません。
特異点はありそうですが、もしかしたら無いのかもしれませんね。
人が通過するとどうなる?
スティーブン・ホーキング博士が説明するには、仮に事象の地平面を宇宙飛行士が通る場合、スパゲッティのように引き伸ばされるとしています。
これをスパゲッティ化現象と呼び、別名ヌードル現象と呼ばれています。
体の左側は右へ、右側は左へと水平に引き伸ばされるそうで、とてつもなく怖いですね。
スパゲッティ化しても、体積は変化しないそうです。
まさしく引き伸ばされるということですね。
ブラックホールのでき方
では続いて、ブラックホールができる過程についても見ていきましょう。
ブラックホールには種類がありますが、ここでは最も多い恒星ブラックホールが誕生について、ご紹介します。
天の川銀河だけでも、数億個あると言われているブラックホールは、どのようにしてできるのでしょうか?
できれば、あまり増えてほしくはありませんが、ブラックホールはどのようにして誕生すると言われているのでしょうか?
そのでき方を見ていきます。
ブラックホールが誕生する条件
恒星ブラックホールが誕生するには、小さな星では誕生しません。
太陽の20倍以上もの天体が、その一生を終える時に誕生するとされています。
数億個もブラックホールがあるということは、これまでに太陽の何十倍もある天体が、たくさんあったということでもありますね。
なかなか想像しがたいものがありますが、ここではひとまず置いておきましょう。
超新星が起こる
太陽の20倍以上の天体が超新星爆発を起こした時に、中心核が自分の重力でどんどんと潰されていきます。
すると、密度が大きい天体となっていきます。
この限界まで潰れた状態がブラックホールとなります。
自分の重力で潰されていくという状態も、分かりづらいものですが、どんどん押し込まれていくような感じなのでしょうか。
最終的には、永遠に縮み続けることによってブラックホールができるそうです。
ブラックホールには種類がある
今現在、ブラックホールには種類があるとされています。
実際に観測されているブラックホールも、その種類ごとに分けられているそうです。
このブラックホールの種類についても見ていきましょう。
超大質量ブラックホール
太陽の10の5乗〜10乗以上という、途方も無い質量を持つブラックホールです。
銀河系にもありますが、他の銀河にもこの超大質量ブラックホールが存在しているのではないかと、考えられています。
大質量というだけあって、中心までが遠いので、奥まで入りこまないとスパゲッティ化現象は起きないと想定されています。
現在ではいて座A*(いてざえーすたー)が、超大質量ブラックホールとされています。
中間質量ブラックホール
太陽の10〜数十倍ほどの質量を持つブラックホールです。
超大質量ブラックホールに比べると、小さいブラックホールですが、それでも十分に大きいです。
この中間質量ブラックホールは、どのようにして誕生しているのか、不確かなことが多いブラックホールです。
HLX-1が現在中間質量ブラックホールと確認されています。
恒星ブラックホール
上でブラックホールのでき方をご紹介した、恒星ブラックホールですね。
いっかくじゅう座X-1や、はくちょう座X-1などが候補に挙げられています。
特に、いっかくじゅう座X-1は、地球に一番近いブラックホールとされていて、3000光年の距離にあります。
マイクロブラックホール
ミニブラックホールとも呼ばれているのがマイクロブラックホールで、元々はスケールの小さいブラックホールは存在しないとされていました。
ですが、ビッグバンの時に発生していた可能性があるとされています。
また、後述しますがLHCの実験でも発生した可能性があると言われています。
比較的すぐに蒸発すると言われています。
ブラックホールの観測
では、ブラックホールの観測についても見ていきましょう。
実際に観測されているブラックホールは、どんなものがあるのでしょうか?
チェックしておきましょう!
最初のブラックホール
1970年代に、X線を放射する謎の正体を調査するべく、衛生ウフルを打ち上げます。
そこで、はくちょう座X-1を発見するのです。
太陽の30倍の質量がありながら、見えない謎の天体に引っ張られているという可能性がありました。
この見えない謎の天体が、最初に観測されたブラックホールです。
ブラックホールの位置
2011年国立天文台とJAXAは、世界で初めてブラックホールの位置の特定を行いました。
日本が先駆けて特定することに成功したというのは、嬉しいですね!
地球からは約5440万光年先にある、超巨大ブラックホールの位置を特定したのだそう。
電波観測を行ったそうですが、遥か彼方まで観測することができるのですね。
潮汐破壊現象を観測
なんと、超大質量ブラックホールが、恒星を重力によって引き裂く現象を直接観測することができたという論文がScienceに掲載されました。
この重力によって引き裂くというのは、潮汐破壊現象なのだそう。
恒星が近づきすぎたのが原因とされています。
これは2005年から観測が始まり、当初は超新星爆発と思われていました。
ですが、2011年になってから超新星爆発ではないと判明し、論文に至ったそうです。
地球でブラックホールができた可能性がある
ここまで、宇宙でのブラックホールについて、ご紹介してきましたが、実は地球でもブラックホールができた可能性があるのです。
都市伝説でもよく耳にする「バミューダトライアングル」ですが、これももしかしたらブラックホールが関連しているのでは?と語れることもあります。
バミューダトライアングルに関しては、噂レベルのものであって、証拠などは全く無いものです。
ですが、とある実験によってマイクロブラックホールが発生したのでは?と思われている実験が行われていたのです。
大型ハドロン衝突型加速器「LHC実験」
スイスのジュネーブとフランスの国境に位置する場所に設置されている、大型ハドロン衝突型加速器は、なんと全周27kmもある大型の施設です。
ちなみに山手線は34.5kmとなっていますので、かなり大型ですね。
ここで行われている実験がLHC実験と呼ばれています。
陽子ビームを正面衝突させ、高エネルギーの素粒子反応を発生させることができるというものです。
この大型ハドロン衝突型加速器を使って行われているLHC実験では、余剰次元理論を使うと、マイクロブラックホールが作られてしまうと、危険視されているのです。
実験の中止を求める訴訟
マイクロブラックホールは、すぐに蒸発するとはされていますが、地球でブラックホールが作られてしまうというのは何が起こるか分かりませんね。
この余剰次元理論の場合には、8TeV〜12TeVの領域でマイクロブラックホールが作られるとしています。
2008年から稼働していますが、フランス高等裁判所・欧州裁判所に実験が危険であるという理由で、訴訟が起こされています。
遠い国での実験ですが、どのような影響があるのか分からないですので、訴訟されるのも分かります。
判決は分かりませんが、何事も起こらないことを祈りたいですね。
まとめ
ここまでブラックホールの基本的な部分や、でき方、観測などについてご紹介してきました。
ブラックホールとは有名ですが、結局どんなもの?と聞かれると、分かりにくいものでした。
未だ未知の部分もありますが、これから解明されていきそうですね!
今後、ブラックホールの謎が全て解明される日が待ち遠しいです。
【参考サイト】
wiki
ブラックホール(wikipedia)
暗黒物質(wikipedia)
ビッグバン(wikipedia)
超新星(wikipedia)
重力の特異点(wikipedia)
裸の特異点(wikipedia)
カー解(wikipedia)
スパゲッティ化現象(wikipedia)
いて座A*(wikipedia)
HLX-1(wikipedia)
いっかくじゅう座X-1(wikipedia)
はくちょう座X-1(wikipedia)
マイクロブラックホール(wikipedia)
超大質量ブラックホール(wikipedia)
中間質量ブラックホール(wikipedia)
恒星ブラックホール(wikipedia)
バミューダトライアングル(wikipedia)
cnn.co.jp
成長速度最大、「モンスター」級のブラックホール発見 豪大学チーム(cnn.co.jp)
マイナビニュース
ブラックホールが恒星をバラバラに引き裂く「潮汐破壊現象」の観測に成功(マイナビニュース)
国立科学博物館
ブラックホールってなんですか?(国立科学博物館)
日本科学未来館
ブラックホール解明の第一歩!?その名も「野良ブラックホール」(日本科学未来館)
JAXA
ブラックホール(JAXA)
weblio辞書
ブラックホール(weblio辞書)
スパゲッティ化現象(weblio辞書)
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