現代では、可愛らしい雰囲気で描かれることも多い河童。
ですが、古来からある河童の伝説では必ずしも、可愛らしい姿だけとは限りませんでした。

恐ろしい河童の伝説も残されています。
妖怪河童の姿や伝説を徹底解説していきたいと思います!
さっそく見ていきましょう。


河童とは?
妖怪の中でも特に有名な河童ですが、まずは河童自体からご紹介していきます。
河童の伝説は多くありますが、そこで語られている河童は、それぞれに違った特徴を持っていることがあります。

共通する部分からご紹介します。
全国各地に伝説がある
河童の伝説は全国各地に残されています。
呼び名も河童だけではなく「わっぱ」や「わらは」「河太郎」などバリエーションがあります。
水神の象徴として、河童が神とされていることもあるようですね。
また、後述しますが猿猴やセコも、河童の仲間と考えられているものもいます。
ちなみに、西遊記の沙悟浄は河童のような出で立ちをしていますが、これは日本に限った表現です。
間違った解釈によって、沙悟浄=河童のイメージがついてしまっただけのようです。

混同しないようにしておきましょう。
全身緑色をしていて子供くらいの背丈
伝承によっては、鱗があるような場合もありますが、体が緑色というのは多く言われています。
全身が赤色の場合もあります。
また、背丈に関しても多くが子供くらいで、大きくても150cmを超えることは少ないようです。
150cmよりも大きな背丈の河童というのは、かなり怖いですね。
背中には亀の甲羅を背負っていて、手には水かき、頭にはお皿をのせていて、くちばしがあるというのが定番になっています。

これらの特徴については、多くの方の共通認識となりそうですね。
ですが亀の甲羅は背負っていない場合もあり、頭に乗せたお皿が乾くと弱ってしまうという伝承もあります。
猿に近く、その全身は毛で覆われている河童もいるようです。
全国で伝承があるためか、見た目の特徴には多少のバラつきがありますが、だいたいが共通しています。
キュウリ・果物が好物
好物はキュウリや果物とされていますが、魚も好きという説もあったようです。
また、キュウリは水神のお供え物とされることが多かったため、キュウリのイメージが浸透したという説もあるようです。
ちなみに、苦手とするものは猿や鹿のツノなどだそうです。
河童の特徴
では続いて河童の特徴についても見ていきましょう。
河童はどのような行動をするのでしょうか?また、どんな能力があるのか?
こちらも、伝説によってバラつきがありますが、共通しやすい点について絞ってみました。
ぜひチェックしてみましょう。
尻子玉を抜いて殺してしまう?

ある伝説によっては、河童は非常に怖い存在のものでもありました。
その中でも、人の尻子玉を抜いて殺してしまうというものがありました。
まず尻子玉とは?と思ってしまいますが、これは実際にはない内臓のことを指していて、お尻のあたりにある玉状のもの(という設定)です。
川を通りかかった人の尻子玉を抜くというものや、子供を相撲に誘って、相手が負けると尻子玉を抜くというものであったり、なかなかに残虐性の高いものです。
河童は腕力が強く、大人よりも力持ちであったとされているので、子供では負けなかったでしょう。
また抜いた尻子玉は食べたりすることがあるようです。
人間に対して友好的だった?
上では残虐性の高い伝説ですが、友好的だったとする伝説も多くあります。
薬の作り方を教えてくれたというものや、子供と楽しく遊んでいたというもの、軽いイタズラをするなども言われています。

河童を助けたりした人には恩返しをするというものまであります。
尻子玉を抜いて殺してしまうということから見ると、全く違う一面ですね。
このような伝説もあると、ホッとしてしまいますが、なぜこんなにも違った表現がされていたのかは分かりません。
化けることができた?
河童の伝説には、化けたりすることができるとしているものもあります。
シダの葉を使って、頭をなでるようにすると化けることができるというものです。
人間に化けるというのは、妖怪らしい一面ですね。
現代においては、河童が安心して住める川が減っている可能性があります。
もしかしたら人間に化けて生活に溶け込んでいたりするのかもしれません。
挙げられている河童の正体
では、続いて河童の正体として挙げられている説についても見ていきましょう。
伝説によっては、全く違う顔を見せる河童ですが、元々はどのような物が正体だったのでしょうか?
定説はありませんが、有力と思われる説をご紹介していきます。
溺死してしまった人を指していた

こちらは、かなり不気味な説です。
溺死してしまった人は肌が緑っぽくなり、尻子玉が抜かれるという表現のように、肛門括約筋の働きがなくなり何かが抜き取られているようにも見えます。
また、川に流されたりした場合は髪がすり減る可能性もあります。
これらの特徴から、溺死してしまった人を指していたか、もしくは河童によって殺されてしまったと想定していたのかもしれません。
もし、河童のせいで殺されてしまったと考えたのであれば、残虐性が高い河童の伝説が残るのも矛盾しませんね。
少し違う視点から見ると、当時間引きが行われていた頃に溺死した子供が発見された時、子供に説明するために河童という妖怪を作り上げたという説もあります。
間引きということ自体、今では考えられないことですが、実際に行われていることもあったのですね。
子供が捨てられ殺されているというのは、他の子供には到底説明できるものではありませんね。
そのための河童伝説かもしれません。
危険な場所から遠ざけるため
こちらの説は、昔話によくある戒めのような、意味が込められているというものです。
川の近くは非常に危険がありますし、子供たちを危険な場所から遠ざけるために、河童が出るから近づいてはいけないという伝説が広がったのかもしれません。
この説であれば、河童はより残虐で怖い対象でないといけませんので、危険な場所がある地域では怖く語られていったのかもしれませんね。
得体の知れない妖怪に殺されてしまうのは、恐ろしいことですので、子供達は危険な場所には近寄らないようになったでしょう。
見間違い
単純に川で遊んでいる子供などを、河童に見間違えてしまったという説です。
また、他の生物などと河童を見間違えてしまったのでは?とする説もあります。
こちらも、説としてはなきにしもあらずですね。
西日本と東日本で分かれていた?
西日本と東日本では、河童の起源は分かれていた可能性があります。
西日本側では、河伯という、中国から伝えられた神話に出てくる神が元となっています。
そして、東日本側では安倍晴明が使役する鬼神が、どこかで河童へと転じたのではないかとも言われています。

このために、河童の特徴が違うということが起こったのかもしれませんね。
起源が分かれていたのであれば、河童の印象が違うのも納得がいきます。
ですが、いずれにしても正体はその場所や伝説によって違う、ということもあるかもしれません。
今も残る河童の伝説
では続いて、実際の河童の伝説について見ていきましょう。
全国に残る河童の伝説は、河童像は違えど多くあります。
どんな伝説なのか、チェックしていきます。
茨城県 牛久沼
イタズラばかりをする河童を捕まえ、木にしばりつけたところ、反省した様子が見受けられたのでほどいてあげた。
すると、河童自ら草刈りを行ってくれたというものです。
長野県 女神湖
女神湖のあった場所には、元々は別の池がありました。
そして、そこには河太郎という河童が住んでいたそうです。
河太郎は、度々人を池に引き込んでいたため困らせていました。
そんな河太郎はある日、河太郎を退治しに来た侍に、追い詰められてしまいます。
河太郎はこの池を出て行くことを侍に約束することで、命を助けてもらいすぐに池から立ち去ります。
その後、以前の池からほど近くに河太郎は池を作り、そこに住んでいたそうです。
一夜にして池ができたことから、夜の池と呼ばれて現在でも夜の池は残っています。
広島 猿猴えんこう
広島や中国地方に残されている、河童の仲間とされているのが猿猴です。

1863年には高知県で生け捕りにされたとする記録もあります。
パッとみた感じは子供の猿に似ていますが、全身がぬるぬるとしていて、手が伸びるというものです。
また、女性を襲う場合もあり、その子供は頭に皿を持っていたともされています。
四国にシバテンという妖怪がいますが、この妖怪が進化したものともされています。
九州・島根 セコ
赤ちゃんのような姿であったり、見えない場合もあるセコは、イタズラ好きで大きな害はないとされています。
単独行動の場合もありますが、20〜30人集まって、大工に黒壺をねだったという話が残っています。
このセコについては諸説あり、年をとった河童なのでは?とする説もあります。
実在していた?河童のミイラがある場所
伝承についてご紹介してきましたが、実は実際に河童のミイラがあるとする場所もあるのです。
何らかの理由によって、河童のミイラが残されているのです。
そちらもご紹介していきます。
ミイラになった手
福岡県久留米市にある北野天満宮では、「河伯の手」のミイラが今でも宝物とされて残されているのです。
そして、以下のような伝説が残されています。
901年に菅原道真が筑後川で暗殺されそうになった際、河童の大将が彼を救おうとして手を切り落とされた、もしくは道真の馬を川へ引きずり込もうとした河童の手を道真が切り落としたものとされる
引用 : wikipedia「河童」

河童の大将が助けてくれようとしたものなんですね。
河童の全身ミイラ
こちらは佐賀県伊万里市の松浦一酒造株式会社という、酒造りを行っている会社です。
なんでも、松浦一酒造では1716年から酒造りを行っているらしく、ご先祖様が水の守り神として河童を大切に保存してきたのではないかと、公式ページでは推察されています。
河伯のミイラとして、河童コレクションと共に見ることができるそうですので、見にいってみることも可能です。
河童を題材にしている映画
大巨獣ガッパ
1967年の日活映画の作品です。
映像に時代を感じますが、家庭問題などもテーマのひとつとなっているのも見所です。
南海の島でガッパの石像を発見する。
そこで発見した、子ガッパを日本に連れていってしまうことで、大変なことが起きてしまいます。
当時の特撮技術なども必見の作品です。
河童のクゥと夏休み
2007年に公開された、アニメ映画です。
日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞など、多くの受賞をしていることでも有名な映画です。
下校中に埋もれていた石を割ってみると、ミイラのようになった子供の河童を見つけます。
そこから、河童にクゥと名付け、一緒に生活をしていくこととなりますが、クゥはだんだんと元気がなくなってしまうのです。
考えさせられる作品ですが、ほっこりとした気持ちにしてくれます。
まとめ
河童は、多くの伝説やミイラまでも残している妖怪だったのですね。
現代では可愛らしい姿で描かれることが多いですが、実は怖い一面を持っています。
どこかで河童を見かけた時には、この記事のことを思い出してみてください。

他の都市伝説もご覧になってみてくださいね。


【参考サイト】
wiki
河童(wikipedia)
猿猴(wikipedia)
セコ(wikipedia)
水神(wikipedia)
沙悟浄(wikipedia)
河伯(wikipedia)
安倍晴明(wikipedia)
式神(wikipedia)
女神湖(wikipedia)
夜の池(wikipedia)
シバテン(wikipedia)
北野天満宮 (久留米市)(wikipedia)
河童のクゥと夏休み(wikipedia)日活
大巨獣ガッパ(日活)松浦一酒造
松浦一酒造株式会社(公式ページ)久留米観光サイト
北野天満宮(久留米観光サイト)
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